札幌市近郊での中継には、
手稲山が見えることが第1条件だとこの前お話ししました。
ただし、番組予算が許せば手稲山が見えない場所の中継は人口衛星を使います。
「人工衛星だったらどこでも中継可能だろう」と思われる方、
実は人工衛星が苦手な場所があるのです。
それは、人工衛星がある方向に障害物があることです。
テレビ中継用人工衛星は東京上空で静止していることになっているようです。
したがって、札幌だったら、見た目で真南仰角45度以上の高い障害物は中継の障害となります。
ですから、中継車を置く場所のすぐ近くに高いマンションがあると中継ができません。
中継車を置く場所のすぐ近くに高いマンションがあると中継ができない
また、地理的条件も重要です。私がNHK在職時、NHKの職員ディレクターが小樽市銭函の海岸から「ウニ漁の中継をする」という企画でした。
しかしながら、以下2点で中継車から電波を飛ばすことができませんでした。
第1に、中継場所からは「手稲山が見えない」。
第2に、現場の南側が山や切り立った崖になっている。
JRで小樽—札幌間を乗ったことがある方はおわかりと思いますが、銭函駅付近の海岸線は低くなっておりJR函館本線を境に南側が山や切り立った崖になっています。
よって衛星の電波は通りません。
この時のディレクターはコーナー中継初心者ということもあり、技術陣が電波を手稲山に通すために中継車と手稲山の間に中継ポイントを置いて放送しました。これは機材や人件費が新たに必要です。
NHKだからできることで民放ではなかなかできません。
と、いうわけで北海道から真南仰角45度に障害物がある建物の近くでは中継できないことがおわかりかと思います。