2014年2月27日木曜日

人口衛星に電波が飛ばせない場所がある!

札幌市近郊での中継には、
手稲山が見えることが第1条件だとこの前お話ししました。

ただし、番組予算が許せば手稲山が見えない場所の中継は人口衛星を使います。

「人工衛星だったらどこでも中継可能だろう」と思われる方、
実は人工衛星が苦手な場所があるのです。

それは、人工衛星がある方向に障害物があることです。

テレビ中継用人工衛星は東京上空で静止していることになっているようです。
したがって、札幌だったら、見た目で真南仰角45度以上の高い障害物は中継の障害となります。

ですから、中継車を置く場所のすぐ近くに高いマンションがあると中継ができません。
            中継車を置く場所のすぐ近くに高いマンションがあると中継ができない


また、地理的条件も重要です。私がNHK在職時、NHKの職員ディレクターが小樽市銭函の海岸から「ウニ漁の中継をする」という企画でした。
しかしながら、以下2点で中継車から電波を飛ばすことができませんでした。

第1に、中継場所からは「手稲山が見えない」。
第2に、現場の南側が山や切り立った崖になっている。

JRで小樽—札幌間を乗ったことがある方はおわかりと思いますが、銭函駅付近の海岸線は低くなっておりJR函館本線を境に南側が山や切り立った崖になっています。 

よって衛星の電波は通りません。

この時のディレクターはコーナー中継初心者ということもあり、技術陣が電波を手稲山に通すために中継車と手稲山の間に中継ポイントを置いて放送しました。これは機材や人件費が新たに必要です。
NHKだからできることで民放ではなかなかできません。

と、いうわけで北海道から真南仰角45度に障害物がある建物の近くでは中継できないことがおわかりかと思います。


2014年2月8日土曜日

札幌のテレビ局の中継には手稲山が見えることが第1条件


私はおよそ4年間、札幌近郊で中継担当をしていました。
中継に大切な条件があることをごぞんじですか?
実は電波が飛ばせること…。



              北海道のローカル局のテレビ送信所が並ぶ手稲山


「そんなのあたりまえだろう」とおっしゃる方、
実は昨今のマンションなどの高層化で電波を飛ばせないところが多いのです
「衛星に飛ばせばいいだろう」
そうおっしゃる方も多いと思いますが、なかなか情報番組では使えません。
北海道のローカル局の番組は制作予算が少ないため、「なるべく衛星を使いたくない」というのが本音です。なぜか?それはお金がかかるから…。

放送局の中継方式には基本的に2つの方式があります。
みなさんご存じの衛星。そして、マイクロ波というものを使って自局のアンテナか手稲山の送信所飛ばす方式です。
私はUHBNHK札幌でしか中継を経験していませんが、
技術関係者に聞いたところ衛星回線を使うと民放では1分あたり8000円。NHKでは3000円かかるといいます。

マイクロ波は回線使用料がタダ。中継には通常の取材より人手がかかるので、マイクロ波が飛ぶことが第1優先になります。
これがなかなかやっかい。見通しがよければ、50キロメートル以上は届くそうですが、昨今の建物事情として、中心街はさることながら郊外までも建物の高層化が進んでいます。ですから、中継ディレクターは中継場所から手稲山が見えるか確認します。
自分の目高で見えなければ、屋上に上ったりもします。
私がNHKで情報番組の中継をしていた時は
「手稲山が見えない=中継はできない」ということでした。

ですから、打ち合わせなど移動中に手稲山が見えると、ネタがあるわけでもないのに意味もなく「この場所から中継ができるんだ」と思ったものです。

中継担当時は毎日、どんな時も手稲山を見ていた気がします。